福島のデブ田のこと -農業応援(9)

久しぶりのブログ更新と福島県農業のメルマガ第31号です。

震災直前に脱サラして米作りを始めた方の話や、初めて聞く「デブ田」から美味しい米が取れることや、苦労しながら力強く米作りに励んでいらっしゃる皆様の姿を眼に浮かべて応援したくなります。 そんな最中にNPP交渉から国の政策が減反から大きく方向転換されそうなことには、素人の私にもこれからの米作りや日本の農業はどうなんの?と心配させられます。 実は私の友人で新潟、群馬と福井で米を作っている人がいるのです。

11月23日には郡山で有機農業のフェスタ「ふくしまオーガニックフェスタ」が盛大に開かれ、多くの方を魅了したとか。 所要あって行けなかったのが残念です。


=福島県農業メルマガ第31号 「米について」=
今年の稲刈りも終わりました!

米について考えると、福島県の風評被害と、日本の農政の現状が見えてきます。
先日、郡山市内において「米のバイヤーとの商談会」があり私も参加してきました。
その席、いわき市の安島さんという米農家の方とお話しする機会がありました。


15の農家で「稲穂会」という会をつくりグループで米を出荷しており、安島さんは震災直前に脱サラし、米の専業農家として米づくりを始めました。 私の経験ですと、脱サラして農業に取り組んだ方は、特に栽培技術にこだわりがあり、安島さんも肥料や食味について熱く語られていました。

喜多方市山都の渡部よしのさんは、いつも「水田にいる カエル ドジョウ トンボ などの生き物の命を大切にしたい。 だから、農薬や化学肥料は使いたくない。 それがおいしい米づくりにもつながる」と話し、だんなさまと一緒にいつも手で田んぼの草取りを行っています。 私は、渡部よしのさんの写真を1枚持っています。 田んぼの草取りはつらい仕事であるはずなのに、満面の笑みを浮かべながら、高々と採った雑草をかかげている写真です。 この写真から、渡部さんの心のやさしさと自然を大切に思う気持ちが伝わってきます。

今日、本宮市の後藤ファームに行く機会もありました。 なにやら、白衣を着た研究者風の方がいたので、私が「あの方は?」と尋ねると、「30ヘクタール以上栽培しているので、地形によって地域によって米の食味も異なる。 なので、地域ごとの食味を調べている」とのことでした。 科学的にも米を極めようというその姿勢に感服しました。

当、二本松農園。 稲刈りが終わったのは2日前です。 今年は、稲刈りに1カ月以上かかりました。 当農園の周辺では高齢化が広がり、その方々が、次々と当農園に米の栽培を依頼してきます。 「先祖伝来の田んぼを荒らしたくない。 なんとか栽培してもらえないか」という依頼が多く、それを次々と受け入れているうちに、二本松農園の栽培する水田は、震災前2ha程度であったものが、今年は5ha近くになってしまいました。 自分が生まれ育った村ですので土地を荒らしたくはないです。 しかし、当農園の周辺は山あいが多く、デブ田と呼ばれる湿地水田が多くあります。 コンバインで刈り取りしても、機械自体が沈み込み、なかなか稲刈りが進みません。しかも、水田もコンバインがやっと入るような小さく不整形。 通常コンバインですと条件が良ければ30分ぐらいで稲刈りが終わるのですが、山あいのデブ田では1日もかかってしまうのです。 なので、稲刈りに1ケ月以上。一人で刈り取りをやっていてデブ田にコンバインがはまり込んだ時には泣きたくなってしまいます。 でも、デブ田で山間の水田からは、おいしい米ができるのです。

このように、米づくりには、その農家ごとの物語があるように思います。
自分のつくった米を、「おいしくない」という農家はまずいません。 米は八十八回、手間がかかると言われています。 それだけ思い入れもある作物なのです。
日本は瑞穂の国。 米は日本農業の基本と言えます。


しかし、今年、農協の米の買い入れ価格は30kgあたり5800円まで落ち込んでいます。 とても採算のとれるレベルではありません。 来年から減反奨励金も廃止の方向に向かうようです。 もともと、農家は減反に反対していたはずです。 それでも農政に従いやむなく減反を受け入れてきました。 ここにきてTPPの関係もあるのでしょうが、猫の目のように減反廃止。 あるニュースで農家の方が言っていました。 「ただ、米をつくりたいだけだ。 色々条件を変えて足をひっぱらないで欲しい」

震災後、福島県産農産物で依然として風評被害にさらされているのは「米」です。 郡山市で開催されたバイヤー商談会である大規模取引の米バイヤー(本社福岡)が言っていました。
「齊藤さん教えてあげるね。 私たちが福島県の米を買いたいと思っても、震災前、福島県から大量に米を出していた流通・・・それ自体が止まっている、止めている、んだよ」
全国の消費者が福島県産の米を買いたい食べたい、と思っても、流通自体が動かない、動かしていない、これを「風評被害」というのでしょうか。 福島県をめぐる問題の本質は、実はこの辺にあるように思えてなりません。
だから、農家と消費者が直接結びついていくしかない。 「顔の見える関係に風評被害はなし」
私がいつも言っている事です。


本日、いわき市の安島さんの米もネットショップ
http://www.nihonmatsu-farm.com/
にあげました。 これで、ネットショップで取り扱うお米は、安島さん、渡部さん、後藤さん、
阿多多羅有機倶楽部、二本松農園の5農家になりました。
このように、それぞれに、物語と背景があります。 ぜひ、全国の皆様、それぞれ食していただいて、日本の農業に想いを馳せていただければ幸いです。


2013年11月12日 
NPO法人がんばろう福島、農業者等の会
二本松農園 代表 齊藤登




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この記事へのコメント

メグ
2013年11月27日 17:35
こんにちわ

むかし、福島産のコメも
食してましたが、今は
どうも北海道産を。。。

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